久しぶりに村の会から要望書が出ました。写真は14日付
リニア工事村内残土置き場についての要望書
2017年12月13日
大鹿村長 柳島貞康 様
大鹿の十年先を変える会
いつも村政を担っていただき、ありがとうございます。
昨年11月、村当局はリニア本体工事の着手に同意し、今年7月から本体工事が始まりました。
昨年の工事着工の表明は、残土の置き場が正式に決まっていない中でなされ、それについて疑問の声が上がり、工事開始に反対の意見も多く村当局に寄せられたのは周知の通りです。村内の2カ所の本体トンネルの掘削工事から排出されたズリは、隣接する仮残土置き場に積まれていますが、すでに小渋川非常口横の残土置き場は満杯です。
村内には、9カ所の仮残土置き場候補地がこれまで公表されていますが、すべて河川に沿った部分であり、当然ながら河川周辺に盛り土をすれば、増水時に水の流路を妨げます。一時的に自然堰堤が生じ、それが決壊することになれば、下流域の住宅が壊滅的な被害を受ける恐れがあります。同様の観点で、松川町福与地区では、上流域の生東地区での残土置き場設置に反対しています。三六災害の記憶が住民の間にあってこその当然の反応と思いますが、大鹿村に限ってその恐れがないということはありません。
釜沢の4カ所の仮残土置き場(一つは稼働中)、青木地区の2カ所の仮残土置き場、上蔵の仮残土置き場、さらにろくべん館前の残土置き場は、下流域の市場・文満・落合地区の災害の危険性を高めますし、大西グラウンドの残土置き場も、落合地区に影響します。三六災害時には、深ヶ沢、下榑橋周辺、上蔵、ろくべん館前、大西グラウンドの候補地が、小渋川、青木川が氾濫した個所(釜沢地区の候補地はデータ不足)であることがわかっています。
私たちが実施した地質学者の松島信幸さんとの現地調査では、青木地区の2カ所、大西グラウンドの候補地は、谷止めを作って流路溝を作るなどの工事を施さなければ、三六災害級の災害が来たときには、流水で突破されるおそれがあるとのことでした。仮置き場であったとしても、三六災害級の災害が明日来ない保証はありません。こういった点も、柳島村長の言う「迷惑施設」との発言を裏付けています。
そもそも、河川周辺に不用意に残土を置くことを許すのであれば、現在行われている砂防堰堤工事は、いったい何のためになされているのでしょうか。住民の生活や安全のために事業者に計画の見直しや練り直し、中止を求めるのも村当局の役割なのですから、残土置き場を確保することで、工事車両の通行量を減らす、などの効果が仮にあったとしても、それは住民の生活や安全を危険にさらしてまで村が押し進めることではありません。
ましてや、村外の残土置き場が見つからない状況で、仮残土置き場の設置を許せば、永久に残土を村内の河川周辺に放置されることにもなります。南アルプスと地質が連続する、中部横断自動車道の建設工事では、大量の重金属がトンネルから排出されて工事の進行が遅れましたが、現在、セレンなどを含んだ残土が周辺河川周辺に山盛りとなり、富士川の堤防に利用されています。環境基準値以下であったとしても、将来的にこれら重金属の影響が住民の安全を損なわないという保証はどこにもありません。
また、静岡県側での工事施行が遅れれば、静岡側の残土を、工事が先行する大鹿村側に持ち込むことにもなります。実際、静岡・長野の県境、岐阜・長野の県境では、県境をまたいでのトンネル掘削が行なわれる予定です。事業者の計画変更を村が止める権限はありません。
また村全体の問題として将来にわたって、残土の問題をどうするかの議論がなされていないことも心配です。JRの説明会以外で村から正式にそれぞれの残土置き場候補地についての説明もないまま、地権者と自治会の間だけで話題になっているだけです。下流域のみならず、残土運搬車両の影響は村内全体に及びますし、来村者にも影響します。村有地である大西グラウンドや村の残土置き場の深ヶ沢の残土設置については、村民や利用者に不便をかけ、補償も求めずに置かせるなど、あってはならないことです。
2014年の認可前、環境大臣は残土の仮置き場の選定について、以下の条件を掲げています。
「今後、新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区域等を回避すること。また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えない場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観を整備すること。 」
これら条件を、村内各残土置き場候補地がクリアできているとは言えません。
事業は遅れが目立つとともに、談合疑惑など、事業自体の公益性・信頼性を日を追うごとに低下させています。ズリの発生に伴い、JR東海の便宜を図ることで、住民の生活や安全が危険にさらされることのないよう、以下、要望します。
一 村有地でまだ残土を置かれていない河川周辺の残土設置候補地については、いったん白紙に戻し、村内に残土を置くことについて広く村民の意見を募る説明会を実施して下さい。
一 残土の本置き場が決まるまで、村有地でのリニア事業の残土の受け入れについて許可しないでください。
2017年12月13日
大鹿村長 柳島貞康 様
大鹿の十年先を変える会
いつも村政を担っていただき、ありがとうございます。
昨年11月、村当局はリニア本体工事の着手に同意し、今年7月から本体工事が始まりました。
昨年の工事着工の表明は、残土の置き場が正式に決まっていない中でなされ、それについて疑問の声が上がり、工事開始に反対の意見も多く村当局に寄せられたのは周知の通りです。村内の2カ所の本体トンネルの掘削工事から排出されたズリは、隣接する仮残土置き場に積まれていますが、すでに小渋川非常口横の残土置き場は満杯です。
村内には、9カ所の仮残土置き場候補地がこれまで公表されていますが、すべて河川に沿った部分であり、当然ながら河川周辺に盛り土をすれば、増水時に水の流路を妨げます。一時的に自然堰堤が生じ、それが決壊することになれば、下流域の住宅が壊滅的な被害を受ける恐れがあります。同様の観点で、松川町福与地区では、上流域の生東地区での残土置き場設置に反対しています。三六災害の記憶が住民の間にあってこその当然の反応と思いますが、大鹿村に限ってその恐れがないということはありません。
釜沢の4カ所の仮残土置き場(一つは稼働中)、青木地区の2カ所の仮残土置き場、上蔵の仮残土置き場、さらにろくべん館前の残土置き場は、下流域の市場・文満・落合地区の災害の危険性を高めますし、大西グラウンドの残土置き場も、落合地区に影響します。三六災害時には、深ヶ沢、下榑橋周辺、上蔵、ろくべん館前、大西グラウンドの候補地が、小渋川、青木川が氾濫した個所(釜沢地区の候補地はデータ不足)であることがわかっています。
私たちが実施した地質学者の松島信幸さんとの現地調査では、青木地区の2カ所、大西グラウンドの候補地は、谷止めを作って流路溝を作るなどの工事を施さなければ、三六災害級の災害が来たときには、流水で突破されるおそれがあるとのことでした。仮置き場であったとしても、三六災害級の災害が明日来ない保証はありません。こういった点も、柳島村長の言う「迷惑施設」との発言を裏付けています。
そもそも、河川周辺に不用意に残土を置くことを許すのであれば、現在行われている砂防堰堤工事は、いったい何のためになされているのでしょうか。住民の生活や安全のために事業者に計画の見直しや練り直し、中止を求めるのも村当局の役割なのですから、残土置き場を確保することで、工事車両の通行量を減らす、などの効果が仮にあったとしても、それは住民の生活や安全を危険にさらしてまで村が押し進めることではありません。
ましてや、村外の残土置き場が見つからない状況で、仮残土置き場の設置を許せば、永久に残土を村内の河川周辺に放置されることにもなります。南アルプスと地質が連続する、中部横断自動車道の建設工事では、大量の重金属がトンネルから排出されて工事の進行が遅れましたが、現在、セレンなどを含んだ残土が周辺河川周辺に山盛りとなり、富士川の堤防に利用されています。環境基準値以下であったとしても、将来的にこれら重金属の影響が住民の安全を損なわないという保証はどこにもありません。
また、静岡県側での工事施行が遅れれば、静岡側の残土を、工事が先行する大鹿村側に持ち込むことにもなります。実際、静岡・長野の県境、岐阜・長野の県境では、県境をまたいでのトンネル掘削が行なわれる予定です。事業者の計画変更を村が止める権限はありません。
また村全体の問題として将来にわたって、残土の問題をどうするかの議論がなされていないことも心配です。JRの説明会以外で村から正式にそれぞれの残土置き場候補地についての説明もないまま、地権者と自治会の間だけで話題になっているだけです。下流域のみならず、残土運搬車両の影響は村内全体に及びますし、来村者にも影響します。村有地である大西グラウンドや村の残土置き場の深ヶ沢の残土設置については、村民や利用者に不便をかけ、補償も求めずに置かせるなど、あってはならないことです。
2014年の認可前、環境大臣は残土の仮置き場の選定について、以下の条件を掲げています。
「今後、新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区域等を回避すること。また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えない場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観を整備すること。 」
これら条件を、村内各残土置き場候補地がクリアできているとは言えません。
事業は遅れが目立つとともに、談合疑惑など、事業自体の公益性・信頼性を日を追うごとに低下させています。ズリの発生に伴い、JR東海の便宜を図ることで、住民の生活や安全が危険にさらされることのないよう、以下、要望します。
一 村有地でまだ残土を置かれていない河川周辺の残土設置候補地については、いったん白紙に戻し、村内に残土を置くことについて広く村民の意見を募る説明会を実施して下さい。
一 残土の本置き場が決まるまで、村有地でのリニア事業の残土の受け入れについて許可しないでください。