2017年7月13日 大鹿の十年先を変える会 ニュース 第1号
と お せ ん ぼ
リニア新幹線失敗の早期実現を目指して
小渋川非常口着手、起工式から8カ月目
7月3日に上蔵の非常口の工事が始まるというので朝、抗議の為に工事現場でプラカードをもってアピールしてみた。警備のおじさんを隔てた現場付近では、作業服を着た人たちとスーツ姿に「広報」の腕章をつけた人達が段取りを確認しているような様子がみてとれた。しばらく立っていると、腕章を付けた3人が車道にでて来て車に乗り込もうとしている。すかさず、一緒に立っていた仲間が話しかけて説明を求めた。聞きたい事は山ほどある。残土置き場が決まってないのに掘り出す経緯、掘り出した残土はどこへ置くのか……。
「丁寧な説明をする」と言っているJR東海だが、住民の呼びかけには応じず「スミマセン」と一言いったきりで車に乗り込み去っていった。車は豊田ナンバーだった。折角遠くから来たのだから、ちょっとぐらい現場の声を拾って行けばいいのにと思ったが、彼らはそうはしなかった。住民が聞いているのに無視をするという態度が彼らのいう「丁寧な説明」なのか。東京の本社でも「広報」の腕章をつけた人は同じ態度をとっていた。そういうマニュアルでもあるのだろう。
自宅は上蔵の中心市街地から少し離れた高台にあるが日中、家で過ごしていると重機の低重音が鳥や虫の声と重なって聞こえてくる。これからこの音が暮らしの中の日常になっていくのだろうか。
実家の旅館を手伝っている。平日に来るお客様は工事車両の多さに驚いた様子で、帰り道は安心して走れる道をと、分杭峠を越えて伊那市に抜けるルートか、地蔵峠を越えて飯田市方面に抜ける道を選ぶ。小渋線は大鹿村への一般的な道であるが、今のところ平日はちょっとおススメできない道となってしまった。(前島)
走り去る豊田ナンバーの車
いつでもどこでも敵対的
上蔵の河川敷の工事予定地で、JR東海が起工式を行なったのは昨年11月2日のこと。当時JR東海の柘植社長は、「これまで以上に誠心誠意、連携を取っていきたい」と式典会場でコメントしていました。ところが式場外では、JR東海に説明を求める住民に対して、JR東海は来賓で来ていた飯田署の副所長に対応させて警察を呼び、あからさまに敵対的でした。7月3日に無言で車に乗りこんだ3人は、JR東海の社員であることすら不明で、これではまるで「不審者」です。リニアにいろんな意見があるのは当たり前、でも意見が違う住民はこれからも無視するのでしょうか。
工事の遅れはなぜ
昨年10月末、村長と村議会が異論を封じてあわただしく「確認書」を取りまとめ、着工同意をしたのは、林野庁が保安林解除の手続きを見こんだJR東海のスケジュールに沿ったものであることを朝日新聞は報じています。
しかし保安林の解除手続きは予想より時間がかかったうえに、土石流災害を懸念した住民たちは異議の手続きをとり、結局、二番目に着手予定だった釜沢の除山非常口で掘削を開始しました。それも住民の反発を恐れて前日に村と自治会に知らせるというドタバタぶりでした。除山非常口は現場に通じる橋の強度不足が発覚し、とん挫しています。工事が進まないのは、杜撰な計画と住民軽視のツケをJR東海が今払わされているからです。(宗像)
大鹿村が大鹿村であるために
私たちはリニア新幹線に普段通りにリニアに反対しています。「リニアの村」になった大鹿村でリニア反対の声があるのは当たり前だからです。自然を壊さずにどうやって村のために生かしていけるのか、きちんとした情報をもとに、村の未来のためにどうやって意見の違う人とも話し合いができるのか……住民自治と自然を生かした村づくりは、南アルプス・ユネスコエコパークの大鹿村が約束したことです。「リニアありき」では自分たちの村のことを自分たちで決めることはできません。十年後には、もっと朗らかで風通しのよくなった村に住むのが私たちの希望です。
年会費2000円(会報隔月で発行)
TEL 0265−39−2067(リニア困りごと相談承ります)
郵便振替:00560−9−103082 加入者名:大鹿の十年先を変える会
保安林解除に180件の異議
小渋川非常口の掘削予定地は保安林に指定されており、森林法に基づき、村内外から180通の異議意見書が林野庁に届けられました(村内からは把握しているだけで12人)。ご協力ありがとうございました。残念ながら直接の利害関係者とはみなされず保安林は解除されました。住民合意を得るようにと村に提出した陳情も不採択となりましたが、情報公開を求める要望所が議会から村に提出されています。柳島村長は、村が進めたい事業についても情報公開すべきかと議会で発言していますが、保安林は事業の内容如何にかかわらず、住民の安全にかかわるものです。神奈川県では自治会の同意を得るように県が指導しています。
JRに合わせる必要は何もなかった
「大鹿村だけ反対しても」という声に押されて着工に同意した大鹿村。しかし、工事は大幅に遅れ、地権者の頭越しに確認書を結んでまで、11月に着工同意を示す必要はありませんでした。それどころか村長は2015年12月にすでに工事予定地の保安林指定の解除に同意する意見書を提出しています。協定違反があれば工事を止めるなど条件だってつけられたはずですが、JRとの取引材料を最初から差し出していたのです。その間、工事に不安を覚える住民はJR東海の善意にすがるしかなくなり、反対意見は聞かないと挑発するJRとの間で対立は深まりました。
大鹿村だけが賛成しても
今のところJR東海と確認書を結んだのは大鹿村だけです。現在、県内で974万トン排出される残土の行き先が決まったところはなく、豊丘村の本山の残土置き場候補地も、手続きの不備が明らかになってとん挫。伊那山地トンネルの見通しもつきません。長野県駅周辺の土地買収は見通しがつかず、県内でも本線の中心線測量も終わっていないカ所があります。山梨県でもアクセス道路の橋梁の加重制限のため工事が進まず、静岡県では地上部分もないのに工事着手すら見通しが立ちません。JRにとって緩い協定で「リニアにやさしい」大鹿村にこれでは工事のしわ寄せが来る心配もあります。本置き場も決まらないまま、河川敷の残土の仮置き場に土を置かせれば永久に置かれて災害のリスクを高めます。長野の工事が先行すれば、静岡まで長野からトンネルを延長し、残土を大鹿村が引き受けることに……。「大鹿村だけ壊されてリニアは来ない」なんてことになりかねません。
2027年開業なんて無理、急ぐのは無駄
村内にはまだまだリニア関連の保安林解除予定地があります。解除は1年近くかかり、JR東海が2027年に開業するのはまず無理です。JR東海への協力は慎重になり、工事を認めるにしても担保をとりましょう。急ぐ必要は何もありません。関連工事への協力を断るのは自由です。村長は恒久的な水枯れ対策をJR東海に求め、青木川非常口の着工同意は新たな確認書を結んだ後、と村長選で約束しています。JRと約束するなら、実効性のある内容を結ばないと、泣き寝入りをするのは、私たち住民です。
と お せ ん ぼ
リニア新幹線失敗の早期実現を目指して
小渋川非常口着手、起工式から8カ月目
7月3日に上蔵の非常口の工事が始まるというので朝、抗議の為に工事現場でプラカードをもってアピールしてみた。警備のおじさんを隔てた現場付近では、作業服を着た人たちとスーツ姿に「広報」の腕章をつけた人達が段取りを確認しているような様子がみてとれた。しばらく立っていると、腕章を付けた3人が車道にでて来て車に乗り込もうとしている。すかさず、一緒に立っていた仲間が話しかけて説明を求めた。聞きたい事は山ほどある。残土置き場が決まってないのに掘り出す経緯、掘り出した残土はどこへ置くのか……。
「丁寧な説明をする」と言っているJR東海だが、住民の呼びかけには応じず「スミマセン」と一言いったきりで車に乗り込み去っていった。車は豊田ナンバーだった。折角遠くから来たのだから、ちょっとぐらい現場の声を拾って行けばいいのにと思ったが、彼らはそうはしなかった。住民が聞いているのに無視をするという態度が彼らのいう「丁寧な説明」なのか。東京の本社でも「広報」の腕章をつけた人は同じ態度をとっていた。そういうマニュアルでもあるのだろう。
自宅は上蔵の中心市街地から少し離れた高台にあるが日中、家で過ごしていると重機の低重音が鳥や虫の声と重なって聞こえてくる。これからこの音が暮らしの中の日常になっていくのだろうか。
実家の旅館を手伝っている。平日に来るお客様は工事車両の多さに驚いた様子で、帰り道は安心して走れる道をと、分杭峠を越えて伊那市に抜けるルートか、地蔵峠を越えて飯田市方面に抜ける道を選ぶ。小渋線は大鹿村への一般的な道であるが、今のところ平日はちょっとおススメできない道となってしまった。(前島)
いつでもどこでも敵対的
上蔵の河川敷の工事予定地で、JR東海が起工式を行なったのは昨年11月2日のこと。当時JR東海の柘植社長は、「これまで以上に誠心誠意、連携を取っていきたい」と式典会場でコメントしていました。ところが式場外では、JR東海に説明を求める住民に対して、JR東海は来賓で来ていた飯田署の副所長に対応させて警察を呼び、あからさまに敵対的でした。7月3日に無言で車に乗りこんだ3人は、JR東海の社員であることすら不明で、これではまるで「不審者」です。リニアにいろんな意見があるのは当たり前、でも意見が違う住民はこれからも無視するのでしょうか。
工事の遅れはなぜ
昨年10月末、村長と村議会が異論を封じてあわただしく「確認書」を取りまとめ、着工同意をしたのは、林野庁が保安林解除の手続きを見こんだJR東海のスケジュールに沿ったものであることを朝日新聞は報じています。
しかし保安林の解除手続きは予想より時間がかかったうえに、土石流災害を懸念した住民たちは異議の手続きをとり、結局、二番目に着手予定だった釜沢の除山非常口で掘削を開始しました。それも住民の反発を恐れて前日に村と自治会に知らせるというドタバタぶりでした。除山非常口は現場に通じる橋の強度不足が発覚し、とん挫しています。工事が進まないのは、杜撰な計画と住民軽視のツケをJR東海が今払わされているからです。(宗像)
大鹿村が大鹿村であるために
私たちはリニア新幹線に普段通りにリニアに反対しています。「リニアの村」になった大鹿村でリニア反対の声があるのは当たり前だからです。自然を壊さずにどうやって村のために生かしていけるのか、きちんとした情報をもとに、村の未来のためにどうやって意見の違う人とも話し合いができるのか……住民自治と自然を生かした村づくりは、南アルプス・ユネスコエコパークの大鹿村が約束したことです。「リニアありき」では自分たちの村のことを自分たちで決めることはできません。十年後には、もっと朗らかで風通しのよくなった村に住むのが私たちの希望です。
年会費2000円(会報隔月で発行)
TEL 0265−39−2067(リニア困りごと相談承ります)
郵便振替:00560−9−103082 加入者名:大鹿の十年先を変える会
保安林解除に180件の異議
小渋川非常口の掘削予定地は保安林に指定されており、森林法に基づき、村内外から180通の異議意見書が林野庁に届けられました(村内からは把握しているだけで12人)。ご協力ありがとうございました。残念ながら直接の利害関係者とはみなされず保安林は解除されました。住民合意を得るようにと村に提出した陳情も不採択となりましたが、情報公開を求める要望所が議会から村に提出されています。柳島村長は、村が進めたい事業についても情報公開すべきかと議会で発言していますが、保安林は事業の内容如何にかかわらず、住民の安全にかかわるものです。神奈川県では自治会の同意を得るように県が指導しています。
JRに合わせる必要は何もなかった
「大鹿村だけ反対しても」という声に押されて着工に同意した大鹿村。しかし、工事は大幅に遅れ、地権者の頭越しに確認書を結んでまで、11月に着工同意を示す必要はありませんでした。それどころか村長は2015年12月にすでに工事予定地の保安林指定の解除に同意する意見書を提出しています。協定違反があれば工事を止めるなど条件だってつけられたはずですが、JRとの取引材料を最初から差し出していたのです。その間、工事に不安を覚える住民はJR東海の善意にすがるしかなくなり、反対意見は聞かないと挑発するJRとの間で対立は深まりました。
大鹿村だけが賛成しても
今のところJR東海と確認書を結んだのは大鹿村だけです。現在、県内で974万トン排出される残土の行き先が決まったところはなく、豊丘村の本山の残土置き場候補地も、手続きの不備が明らかになってとん挫。伊那山地トンネルの見通しもつきません。長野県駅周辺の土地買収は見通しがつかず、県内でも本線の中心線測量も終わっていないカ所があります。山梨県でもアクセス道路の橋梁の加重制限のため工事が進まず、静岡県では地上部分もないのに工事着手すら見通しが立ちません。JRにとって緩い協定で「リニアにやさしい」大鹿村にこれでは工事のしわ寄せが来る心配もあります。本置き場も決まらないまま、河川敷の残土の仮置き場に土を置かせれば永久に置かれて災害のリスクを高めます。長野の工事が先行すれば、静岡まで長野からトンネルを延長し、残土を大鹿村が引き受けることに……。「大鹿村だけ壊されてリニアは来ない」なんてことになりかねません。
2027年開業なんて無理、急ぐのは無駄
村内にはまだまだリニア関連の保安林解除予定地があります。解除は1年近くかかり、JR東海が2027年に開業するのはまず無理です。JR東海への協力は慎重になり、工事を認めるにしても担保をとりましょう。急ぐ必要は何もありません。関連工事への協力を断るのは自由です。村長は恒久的な水枯れ対策をJR東海に求め、青木川非常口の着工同意は新たな確認書を結んだ後、と村長選で約束しています。JRと約束するなら、実効性のある内容を結ばないと、泣き寝入りをするのは、私たち住民です。