かねてから呼びかけていた大鹿村の現地見学会、
この週末は、私たちのほかに、日本山岳会、府中の市民グループと大鹿に入り、
今冬に工事着工が表明された大鹿村への注目の高さが伺えます。
直前には、山梨県側の着工(大成建設との契約)、
大鹿村の住民による工事禁止を求める提訴と、
リニアは紛争とともにGOなようです。
この日はあいにくの雨模様、いつもは見える赤石岳は雲の中。
小渋川は濁流でした。
予定していた前日の小河内沢の遡行は中止しましたが、
青木川を途中まで遡って当日を迎えたわけです。
ちなみに、ここから赤石岳を望む景観は、
リニア工事に伴う送電線の鉄塔と架線によって遮られます。
大鹿風に言うと
「大せき神社の前にシカ柵を張り巡らす」ようで、たいへん罰当たりです。
ウェストン碑を見て、ウェストンがかつて宿泊した家を見て、
村内のメインストリートとその回避ルートについて、解説を受けました。
解説したのは5月20日の集会でも発言した前島久美さんです。
その後、青木地区に移動。
後方は青木地区に予定されている坑口出口。
完成すると非常口になります。
青木川沿いの国道(秋葉街道)は1車線の狭いルートで、
橋梁も老朽化しています。
おまけに、青木川の減水がどの程度なのか調査もされていないので、
現在調査を実施中だそうです。なんでそれがアセスに入ってなかったんでしょうか。
それだけでアセスの法的な瑕疵がありそうです。杜撰です。
その後、上蔵地区の坑口予定地に移動。
中央は大鹿村の発電所で、その奥が坑口予定地となります。
手前の田んぼは変電施設の予定地とされています。
この周辺には、養魚場もあり、
アマゴやイワナを村の宿泊施設に卸している唯一の施設なので、
旅館業にとっては大打撃になります。
中央構造線博物館では、地質的な観点から、
リニアの路線について学芸員の河本さんに解説を受けました。
バーを置いているのが、リニアのルートということになります。
年々隆起し、地質も入り乱れている南アルプスでの
トンネル工事はとても危険が伴います。
このお寺は村内にある福徳時という寺で
鎌倉時代にまで遡れる建物の古い由緒あるお寺です。
境内には生活道路が走っていますが、
ここを工事車輛が通過することになります。
釜沢地区では地区のサイモンさんに解説を受けました。
実際にリニアの坑口現場にも行きました。
釜沢は南アルプストンネルの起点になりますが、
逆方向にもトンネルが掘られ、静かな生活がどうなるのか、とても不安だと思います。
一大工事プラントに変貌するという報道がなされているため、
すでに今年、村の観光客は減少。
工事の前から工事の被害はもう生じています。
今回、一般に呼びかけたため、10人以上が参加しましたが
登山者以外にも、学校の先生や自然保護団体の方、記者の方も
参加し、いろいろな見方で工事を見ることができてよかったです。