2017年03月31日

工事は遅れています

保安林解除の異議意見書の提出によって、工事に遅れが出ています。
釜沢非常口の工事予定も、今春から来春へと先送りされていますが、
もちろん、JR東海の見通しが甘かっただけで、
河川工作物の許可取得に手間がかかっている上に、
予定地の保安林解除申請は、先週の段階ではまだなされていません。

そして今回のように保安林解除に時間がかかるなら、
来春の工事着工もなんとも言えません。
もちろん、残土の仮置き場にも、砂防や保安林についての許可が必要です。

さらにJR東海は今回の保安林解除申請について、
松川町生田の残土置き場を残土の持って行き先として地図で明示して
申請をしており、松川町の残土置き場はまだ町長もゴーサインを出していない
段階ですので、候補地として確定ではありません。
確定していない残土置き場を予定地として申請して、
「虚偽申告ではないのか」との質問に、
「予定地があればよい」というのが、地方事務所の見解でした。

そんな理屈通りますでしょうか。

その上、JR東海は保安林指定地とは違う別の場所を
掘削候補地として挙げていたため、
他に変わるべき場所がないことと、という解除の要件も満たしていませんでした。
その場所が取られなかったのは、予定地の事業者の事業に差し支える
とのことでしたが、もちろん、事業者が事業を継続できるだけの補償をしておけば、
保安林をわざわざ切るまでもなかったということです。

===== ===== ===== =====

中日新聞 長野
2017年3月30日
保安林解除に遅れ 大鹿のトンネル掘削、県に反対意見180件
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20170330/CK2017033002000007.html

 県は二十九日、大鹿村で進むリニア中央新幹線の関連工事で、トンネル掘削に伴う保安林の指定解除が四月以降に遅れると明らかにした。最短で二十九日に解除される可能性があったが、住民などからの異議意見書が約百八十件提出されたため。保安林解除の遅れなどで、大鹿村の三カ所で予定される非常口の掘削工事も開始時期が遅れる見通しとなった。

 保安林解除の対象になっているのは、村で掘削が計画される坑口周辺の二百五十七平方メートル。工事で木の伐採などをするために、保安林指定の解除が必要になっている。

 二月に解除予定が告示され、リニア建設に反対する住民団体などが異議意見書を県に提出した。

 提出者に保安林解除の利害関係があるなどの要件が確認されれば、県が知事意見書などを付けて林野庁へ提出する。同庁が受理すれば、異議を申し立てた人への意見聴取をし、解除の是非を審査する。

 JR東海によると、保安林解除の遅れに伴い、小渋川非常口(上蔵地区)の掘削開始予定が本年度中から四月以降にずれ込むことになった。ヤード整備はほぼ終わっている。保安林の指定が解除されれば、速やかに作業用トンネルの掘削工事に入る予定だ。

 残る釜沢、除山の両非常口(ともに釜沢地区)の掘削開始も遅れる。釜沢非常口は、工事現場への進入路を確保するために必要な仮設橋の設置に時間がかかるため、今春から来春にずれる見通し。除山は本年度中から四月以降に遅れるといい、JR東海の担当者は「計画とは時期が違うが、二〇二七年の開業予定に影響を及ぼすことはない」としている。

 (今井智文、伊勢村優樹)

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信濃毎日新聞
リニア投資1590億円 JR東海 前年度比4割増
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170324/KT170323ATI090042000.php

 JR東海は23日、2017年度の設備投資計画を発表した。リニア中央新幹線では、東京・品川―名古屋間に16年度比約4割増の1590億円を計上、用地買収や建設工事を本格的に進める。柘植康英(つげこうえい)社長は都内で記者会見し「南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅といった難工事を本格化させ、軌道に乗せていく」と説明した。

 リニア関連投資の増額に伴い、17年度の設備投資総額は4570億円(連結ベース)となり、16年度を340億円上回って過去最大となる見込み。柘植社長は「今後も健全経営を堅持しながら、工事の安全、環境の保全、さらには地域との連携を十分に重視して、計画を着実に進めていきたい」とした。

 これとは別に、山梨リニア実験線で続けている超電導リニア技術の開発関連は、16年度より7割ほど増やして50億円とした。

 南アルプストンネル長野工区の掘削が遅れていることについて、柘植社長は「早く工事にかかりたいと考えているが、保安林の指定解除がまだ終わっていない。(林野庁に)適切に解除していただいてから工事に着手したい」と説明。「(作業は)若干遅れているが、(2027年開業を予定する)全体の工程に影響を及ぼすことはないと考えている」とした。

(3月24日)

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リニアと暮らし
保安林指定解除、大鹿村民が異議 「安全を優先して」 /長野
毎日新聞2017年3月18日 地方版
http://mainichi.jp/articles/20170318/ddl/k20/020/145000c

 リニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区の工事に伴う保安林指定解除について、工事現場付近に住む大鹿村民が17日、「保安林を伐採すれば土砂災害を誘発する恐れがある」として、国の指定解除に異議申し立てをした。今後、県や林野庁で内容を審査する。

 JR東海は3カ所の作業用トンネル坑口のうち、小渋川非常口周辺の257平方メートルについて保安林指定解除を申請。県は林野庁の審査を受け、2月に解除が妥当とする「解除予定」を県報に告示した。

 この日は同村大河原のフリーライター、宗像充さんらが飯田市の県下伊那地方事務所を訪れ、林務課の担当者に全国から集まった120通に上る異議申立書を提出した。宗像さんは「現場は土砂災害警戒区域に指定されている。国や県は住民の命や安全を優先した審査をしてほしい」と要望した。

 一方、村議会は指定解除前に住民への説明や同意を得るようJRに求めた住民団体「大鹿リニアを止める実行委員会」の陳情を、反対多数で不採択とした。【湯浅聖一】
posted by リニア新幹線を考える登山者の会 at 17:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月19日

異議意見書、ご協力ありがとうございました

全国から寄せられた大鹿村内の保安林解除への異議意見書。

IMG_0030.JPG
2017年2月17日に
飯田市の長野県林務課地方事務所に提出してきました。

IMG_0032.JPG

17日提出分は村内12、村外108の合わせて200通でした。
翌18日に3通追加。
直接21日までに県のほうに届いたものもあるでしょうから、
もう少し増えると思われます。

ご協力ありがとうございました。

この後、県のほうで書類が整っているかチェックし、
書類に不備がある場合は、直接提出者のほうに
補正の要請がいく可能性があります。
2通のところを1通だったり、
直接の利害関係者であることを証する書類を
送るように求められたりすることもありますので、
その場合は、形式上指示通りのものを用意して送ることができます。

その後は国が審査して聴取会を公開で開くことになるかもしれません。
ご不明の場合はお問い合わせください。
0265−39−2067

ところで、保安林の解除に向けて現地では着々と準備が整えられています。

IMG_0027.JPG
重金属判定の残土置き場が入る建物。
その後ろに見える森が今回指定を解除される予定の保安林。
左は県の発電所。
IMG_0021.JPG
後ろの森に坑口ができる予定。

IMG_0019.JPG
掘削機がスタンバイしています。

posted by リニア新幹線を考える登山者の会 at 21:38| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月08日

保安林解除異議申し立ての仕方

若干丁寧にまとめてみました。

リニア失敗の早期実現を願う全国のみなさん!
【大鹿村でのリニアトンネル保安林解除の異議申し立てのお願い】

大鹿村ではリニア南アルプストンネル掘削にあたって、
現在保安林解除の手続きが進んでいます。
現在予定告示がなされ3月21日(火)までに
異議申し立てができます。

村内の住民に呼びかけ異議意見書の提出の準備を進めていますが、
「直接の利害関係者」の範囲を国と県が限定的にしか認めなければ、
異議の意見が門前払いされることにもなりかねません。
(過去、解除の不法性を争った行政訴訟では、原告適格は1km以内の
地権者・住民との判例があります)

そこで、
村内外を問わず、多くの方から異議意見書を届けていただき、
今回の保安林解除が、多くの人の生活や生命財産に
かかわるものであることを林野庁や長野県に示し、
審査を厳正にさせる必要があります。

もちろん、解除手続きとともに長野県側からの
南アルプストンネルの掘削が進むわけです。

ぜひ、ご協力をよろしくお願いします。

IMG_9958.JPG
伐採予定地の下で進むリニア工事


提出にあたって、若干書類の用意が必要です。
お手数ですが、以下の書き方について確認ください。


【異議申し立ての書き方】

■書式と必要なもの
別紙にあります(地番を埋めてあります)。図面も必要です。

異議意見書地番記入済.jpg
保安林解除調査地図.jpg

日付、住所、氏名、印 を満たして異議申し立ての内容と理由を書いて完成です。
法人の場合は、名称及び代表者の氏名が必要です。
内容、理由等は書式に「別紙に記載」と書いて自身で作成しても大丈夫です。

内容、理由は伐採によって生じる影響、損害など
例)
・土砂災害の危険が高まる
・洪水の危険が高まる
・森を切られると周囲の環境が壊れる
・住民の安全が、営利目的のリニア新幹線事業で損なわれるべきではない
・森を切られ南アルプスにトンネルを掘られれば国立公園としての
価値を損ない不利益を受ける
……などなど

*「直接の利害関係を有する者であることを証する書類」を示す必要があります
権限を有している書類、登記事項、証明書などが例示されていますが、
予定個所と自分との関係を記した書類、写真など工夫して示しておきましょう。

■必要部数
異義意見書、図面(裏面のもの)、証明書類を同じものを、2通用意ください


■締め切り
2017年3月21日(火)必着

■提出先
1 3月16日までに下記の住所までにお届け下されば、
翌17日に会で長野県に持参します

399−3502
長野県下伊那郡大鹿村大河原2208 
宗像方 大鹿リニアを止める実行委員会
*ご不明な点はお問い合わせください
TEL 0265−39−2067(宗像)

2 直接持参・郵送する場合
長野県下伊那地方事務所林務課
〒395-0034 飯田市追手町2-678
代表連絡先 電話番号:0265-23-1111 ファックス:0265-53-0404



知っていますか?
災害防止の森がリニアで切られます
 
林野庁は2月16日に保安林解除のための予定告示をし、
大鹿村上蔵の小渋開発の背面にある立木(大河原4850の5、裏面に地図)
0.0257ヘクタール(2.57アール)の伐採を表明しました。
伐採後にリニア南アルプストンネルの坑口ができます。

保安林は伐採を制限し森林保全を目的にした森、
今回の個所は土砂流出防止が指定の目的です。
一帯は土砂災害特別警戒区域(急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、
建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が
生じるおそれがあると認められる区域で、
特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われます)
にも指定されています。

森を切って本当に大丈夫なんでしょうか。

 
Q 伐採されても問題はない?

 伐採個所は信濃宮の下方に位置する上蔵地区の急斜面です。
上蔵地区は鳥倉山が崩壊して流れ出た土砂の上に集落が発達した場所で、
今もゆっくりと地面が動いています。豪雨時には土石流や地滑りの恐れがあり、
大部分が土砂災害警戒区域に指定されています。
その斜面の舌端で保安林が指定されているのは、付近の地盤が弱いからです。
伐採予定地の下方には建物があります。
JR東海は濁水処理設備や重金属対応判定のための
残土の仮置き場を作っています。
斜面が伐採でいっそう弱くなって崩れれば、
流れ出た土によって川がせき止められ、
下流域の市場から落合にかけて、土石流の被害が生じる原因にもなります。

Q保安林解除予定地の対岸にはトビガスがあります……

 上蔵地区の川沿いの田んぼや上蔵集落の大河原城跡は
現在よりも広かったと言います。
ところが、トビガスが崩壊して流れ出た土砂に押されて
川が上蔵集落側に蛇行し、田んぼや斜面の上の台地が削り取られました。
削り取られてできた斜面が伐採で弱くなれば、
上蔵集落はもっと削り取られていくかもしれません。

Q 何かできることはありますか?

 予定告示後30日以内(3月21日まで)に国(県が宛先)に対して
異議申し立てをすることができます。
国が直接の利害関係者からの異議申し立てと認めれば、
公開の聴取会で直接意見を述べることができます。

Q だれが意見を出せますか?

伐採地周辺の住民・地権者は直接伐採の影響を受けかねません。
また上蔵地区や下流域の在住・在勤者は、
述べたように伐採によって資産や生活が脅かされる危険があります。
自分が直接の利害関係者だと示すには書類(地図や登記関係、写真など)
が必要ですが、国立公園である南アルプスへのトンネルの掘削によって、
みんなの共有財産が損なわれると考えれば、
誰でもが直接の利害関係者となりえます。

Q やってもリニア工事は止まらないのでは?

 工事が止まるかどうかと安全性を確保するかどうかは本来別の問題です。
JRのスケジュールに合わせて住民の安全性が損なわれるべきではありません。
被害が生じた後に異議を申し立てても遅いのです。
異議申し立てを考慮するかどうかはたしかに国が決めることですが、
異議が考慮され、代替措置が取られたり
伐採面積が小さくなったりすることもあります。
実際に被害が出れば豊洲の問題の石原元知事のように、
解除にかかわった責任者は後々責任を問われることにもなります。
村議会には、保安林の申請や解除にあたって
周辺や影響が及ぶ可能性のある住民や自治会の同意を得るようにと、
陳情も出ています。

Q これからいったいどうなるのでしょう?

 私たちはリニア計画に反対していますが、
賛成の人の生活が脅かされていいとは思っていません。
多くの意見が国や県に寄せられれば、
住民の安全にいっそう配慮せざるをえなくなります。
一部の人に犠牲を強い、将来の住民の生活を危険にさらして
リニアを完成させても、みんなに歓迎されるものとはなりません。
保安林の解除は釜沢でも続きます。
計画への賛否問わず、感じた不安や疑問をきちんと表明し、
届けるべきときに届けることが、住民のためにも事業者のためにもなります。

☑大鹿リニアを止める実行委員会
TEL 0265−39−2067(宗像) メール munakatami@gmail.com



posted by リニア新幹線を考える登山者の会 at 21:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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