2016年02月04日

黒四ダムと堰堤乗り越え事件

北アルプスの三俣小屋の主人、伊藤正一さんが書いた
『黒部の山賊』という本があって2014年に山と渓谷社から
「定本」として再刊されている。

北アルプスの山中で「山賊」と呼ばれた山男たちの
活躍を紹介したもので、けっこうおもしろい。
その定本の「あとがきにかえて」の部分で
伊藤さんは、その後の山賊たちと北アルプスについて
若干思い出話を書き足している。

その一節に「黒四の上流での大崩壊」という小見出しの事件が紹介されている。

これは、1969年の8月7日〜9日の間に起きた事件で、
大雨で黒四(黒部ダム)の上流の廊下沢が崩れて
そこに湖水ができ、それが決壊して大々的な鉄砲水となって流出し、
その水ができたばかりの黒四の堰堤を乗り越えて流れた、というものだ。

この年は北アルプス全部の山小屋に登山者が一人も来なかったので、
かなり長い間極秘にされたこの事件が世間に知られることはなかった。

伊藤さんは、カベッケが原から雲の平の徒渉点近くの大岩に
「第七黒部ダム堰堤建設地」とペンキで大きな文字が書かれていたのを
見たと言及していて、それが廊下沢の事件以後、
黒四より上流のダム建設の話が引っ込んだ、と振り返っている。

南アルプスの源流で土砂崩れや鉄砲水が起きても
下流にはいくつもダムがあるので、下流域には影響は与えない、
と主張する人はいる。

たしかに、黒四の下流にも、いくつものダムがあって、
水が黒四の堰堤を乗り越えたぐらいで、富山平野にそれが
直接影響を与えたという話にはなっていないようだ。

椹島や二軒小屋の下流域にもいくつものダムがあり、
それらが上流域の災害の大型砂防堰堤になる、ということは
ありうるかもしれない。
実際問題、畑薙ダムのバックウォーターは
大量の土砂流入でみるみる小さくなっていて
現実問題、排砂をしなければ畑薙ダムは大きな
砂防ダムになってしまうかもしれない。

日本のダム一般に考えられる問題なのだけれど、
ダムには本来、目的があるし、堰堤を乗り越えたところで、
洪水被害を防げばそれで目的は達したのかもしれない。
それにしても、黒四は堰堤を水が超えるなんて想定していないだろうし、
壊れなかったのもラッキーだったと言えるんじゃないだろうか。

言いたいことは、
人間の想定を超える自然災害は起きるし、
河川敷に穴を掘って土砂を出し、それで川沿いを埋め立てる、
なんてことをすれば、下流域の住民の安全性が低くなるよりは
高くなるということのほうがより言える、ということだ。

これを「受忍限度」と言ったところで仕方がない。
もともと「金持ちの道楽」で受ける被害に耐える義務は庶民にはありません。


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2・27山梨の南アルプストンネル抗議集会


リニア市民ネットの企画です。
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NO!リニア ゆっくりウオーク

リニア市民ネット東京のほうで、以下のイベントを企画しているそうです。


NO!リニア ゆっくりウオーク2016年3月26日(土)

池上線長原駅 9:50集合 10:00スタート→田園調布駅 11:30
  洗足池、東雪谷非常口、調布学園、田園調布など見学。
 蒲田でランチ 立坑工事現地などを見学しながらゆっくり歩きましょう。

  午後は樫田さんの講演も計画しています。
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