2015年11月20日

長野県駅予定地

ちょっと前になりますが、飯田の長野県駅予定地の上郷(かみさと)地区に行きました。
直前の講演会でお話しされた方が紹介してくれて、
突然電話をして翌日の11月1日に訪問。現地は雨でした。
案内してくれたのは大坪勇さんです。

現地は国道沿いの住宅地ですが、22軒の民家が駅予定地にかかり、
それ以外にも事業所が予定地になっています。
今年の9月13日に1回だけJRによる説明会が開催されたようですが、
それ以降は説明のないまま、中心線測量がすでに終わっています。
IMG_4778.JPG駐車場に打たれた標識。
IMG_4791.JPG土のところは杭が打たれた。

なお、中心線測量は認めたものの、
JRは測量をするときに、地権者に断らずに土地に入ったため、
賛成の人までJRに反発したそうです。

「Comunist Party」というナイスなデザインのジャンパーを着て現れた
大坪さんはリニア反対ですが、
買収予定地の住民は、「土地は売らない」という人はいても
「リニアに反対」という人はいないそうです。
大坪さんも同じ地区ながら地権者ではないので、
リニアに問題は感じていても悩ましいようです。
大坪さんといっしょに訪れた民家の女性も
「言ってもどうしようもない」という感じで玄関先には出てきても
取材には応じませんでした。

以前はここからちょっと離れた座光寺が駅予定地でしたが、
名水、猿庫の泉の下を通るため飯田の市長が反対し、
また遺跡も出たりしたので、予定地が変更になりました。
他人事だった地区の人たちにとっては「寝耳に水」。
3年以内に建てた新しい家も、買収予定地にはあります。
飯田市は「いいものが来るから」と住民を説得してきたので、
いやだとは思っても表立って反対を掲げるのはこれまではなかなかできなかったいうことです。

現地は駅の敷地のほか、750台分の駐車場が構想にありますが、こっちは飯田市の担当。
国道も2車線から4車線に拡幅されますが、こっちもJRの担当ではありません。

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大坪さんはJRの地上げの分については
飯田市じゃなくてJRが責任を持つべきだ、とJRに
言ってきたそうですが、非公式の席では大坪さんにJR東海は
「私たちが出るとコンサルに頼むことになる。
全国各地で買収をしてきたので、手も足もでなくなる」と言ったそうです。
恐ろしいですね。え、コンサルが、じゃなくてJRが。

11月13日にはマスコミを入れた説明会が開かれたそうですが、
今のところ報道は見つけていません。
残土の持っていき場が付近にはなくどうするのかが不明。
2つの生活道路が駅によって分断されることになるがそれをどうするのか。
また、集落の背後は上の飯田線の通る斜面にトンネルを掘ることになりますが、
そこから出た水が地区を流れる新戸川に注ぎ込むと
危険なので、導水して天竜川に水を直接落とすように住民は
主張していますが、今のところJRは余計な金は使いたくないのか、
それについては応じていないそうです。
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IMG_4805.JPGサイフォンなどもあり、水利に気を使ってきた地域です。

駅前広場をどうするかについては飯田市もまだ言明せず、
計画はなにもかもまだまだ疑問だらけでこれで着工したらどうなるのかはなはだ怪しいですが、
飯田市は「リニア基金」として13億を使ってきたと言います。
大坪さんが「税金を使うな」と市長室に行くと、
市長は大坪さんに「国賊」と言ったそうです。
大坪さんたちは「リニアに反対する共産党。選挙で不利になるぞ」と
言われてきたそうですが、最近はそれも通用しなくなったそうです。

JRは中間駅は自費で建設すると述べて認可に漕ぎつけましたが、
それ以外の駐車場や駅前広場、スマートインターや道路などには
ちっとも金を使う気がありません。
要するに中間駅なんて誰も使わなくても別に困んない、という姿勢ですが、
市の計算では一日に6500人が降りる計算だそうです。

IMG_4799.JPG高台から駅予定地を見下ろす。

大坪さんは、「残土の処理は八方ふさがり」と具体的に
地図を示しながらレクチャーしてくれましたが、
「JRが一生懸命やろうとしてもできない」という大坪さんの見解に
JR東海はどの程度説明する言葉を持っているのか。
今のところ、全線で残土の置き場が決まったのは
全容積分の26%です。
JRは、杜撰なアセスのツケをこれから自ら負わされる羽目になるでしょう。(宗像)
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posted by リニア新幹線を考える登山者の会 at 23:55| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

STOP! リニアフェス開催

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11月14日、大田区でSTOP! リニアフェスが開催されました。

運動も山梨・神奈川・東京では行政による協力が得られにくいので、
裁判にかけてみたい方々の思いはよくわかります。
(ただ裁判所がいいところかというとそんなこともないですが)
それで裁判支援の屋内フェスになりました。

音楽やダンス、スライドショー、パネル展示等いろいろありました。
会のメンバーも参加したほか、
宗像が南アルプスの自然の変遷について若干発表しました。

今回の発表で注目されたのが、1967年代に起きた
南アルプススーパー林道の経過でした。

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この林道は長野県の戸台と、山梨県側の芦安を結ぶ路線として
1967年に建設が始まりましたが、地元住民、自然保護団体、学者、
登山者等を巻き込む広範な反対運動が起きました。

当時、「南アルプス自然保護連合」というのが作られ、
呼びかけたのは大鹿の住民でした。

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当時は尾瀬の横断道路構想や八ヶ岳のヴィーナスラインなど、
山岳道路の建設と自然保護運動が激しく対立した時期です。

大鹿で反対が起きたのは、
三伏峠を越えて静岡県側に抜ける大幹線林道の計画が同時期に進み、
その計画を止めるためにも、先行するスーパー林道反対への世論の
注目を集める必要があるという戦略を大鹿の住民が持っていたからでした。

三伏峠のお花畑を車で見に行く、といううたい文句だったわけです。

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建設中の南アルプススーパー林道は
長野側の尾勝谷で林道が災害によってズタズタになり、
森林破壊を巻き起こして世論の批判を浴び
自然保護運動を活性化させました。
実際、できたばかりの環境庁の大石長官が待ったをかけたのもあって、
林道工事は一時ストップしました。

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それだけでなく、
運動の側の戦術も
大石長官への「直訴」、銀座デモ等
華々しく世間の注目を集めました。

しかし、
1980年に北沢峠を林道が通過し完成しました。
北沢峠での開通式典では、全国自然保護連合が「式典粉砕」の抗議アピールをしました。
個人的には、こういうの好きです。

こういった過去の運動の成果は現在でも生かされており、
スーパー林道への一般車の乗り入れは規制され、
また大幹線林道はスーパー林道へと「格上げ」される計画もありましたが、
結局、途中で建設が中止。
現在の鳥倉林道となり、登山者は歩いて三伏峠に至ります。

スーパー林道での過去の教訓は、
リニア工事でも運動側、建設側、双方で生かされるべきです。

建設側は林道の建設が最終的に当初5年を予定した工期が13年にわたり、
工費48億9千万は当初計画の2・5倍となった事実にもっと目を向けるべきでしょう。
南アルプスの脆弱な地形の影響はトンネル工事で緩和されることもないでしょうし、
周辺道路の整備について、JR東海は南アルプススーパー林道の建設で要した
地質上のリスクとともに、
民意への対処によって工事がのびるリスクを引き受けなければなりません。

また運動の側は、
過去の運動の展開の仕方に注目する必要があるでしょう。
南アルプススーパー林道の反対は、
認可がされてから盛り上がりました。
「認可されたから無理」なんてないし、
世論が動けば工事は止まります。

また、過去の運動の成果がJRによって奪われることのないようにする必要があります。
林道は建設されればそれでおしまいというわけではなく、
維持するのにそれなりのお金がかかり、
地形が脆弱な南アルプスでは、そのコストは他地域以上でしょう。
そういったコストは例えば静岡側なら二軒小屋までの林道は静岡市が
維持しているように、税金でなされる恐れがあります。

また、夜叉神峠の下を通る、早川ー芦安連絡道路が
過去の峰越林道と同様の意味を持つことも注目すべきでしょう。
実際、このトンネル工事の目的には、広河原への一般車乗り入れの
規制緩和がうたわれています。
スーパー林道建設阻止運動で得た成果がトンネルで奪われるわけです。

それだけでなく
ユネスコエコパークのための調査研究のための
乗り入れがしやすくなるのが、トンネル建設の目的に入っています。

大井川の2トン減水を防ぐために、
新たに導水トンネルを作り、
白根南嶺上の残土置き場を放棄して
燕沢に残土を集約すると同時に、
西俣から残土を運ぶトンネルを新たに掘削する、
そういった、環境への負荷の軽減に名を借りた自然破壊。
自然保護を旗頭にした自然破壊がまかり通っています。

「原発は二酸化炭素を出さないからエコ」と言っていたのと同じ理屈です。
そもそも原発を作らない、これ以上トンネルを作らない、
水が減るような工事はしない、そんな当たり前の理屈は
ちょっと考えれば出てきますが、それが通らないのがリニア工事。

「リニアが通れば道理が引っ込む」

そんなリニアいりません。
posted by リニア新幹線を考える登山者の会 at 10:41| Comment(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする